札幌市南区に位置し、日本一危険な動物園として知られる「ノースサファリサッポロ」。
動物との距離感の近さや猛獣への餌やりなど話題性のある運営を行い、一定の人気を博していた。
一方で、アザラシと泊まれるコテージなどの企画では、狭い水槽の中でアザラシを閉じ込めるという点から、多くの人々から虐待であるなどの指摘を受け、炎上していた。
そんな一定の話題性を持っていた「ノースサファリサッポロ」に札幌市は事実上の閉園命令を出す方向性であることが。25年2月に発表された。
この記事では、ノースサファリサッポロの変遷と今回の閉園命令に至った経緯について解説していく。
1 日本一危険な動物園として一躍人気動物園へ
ノースサファリサッポロは2016年頃からSNSをきっかけに「日本一危険な動物園」として話題になった。
特に、トラやライオンなどの猛獣への餌やり体験や、巨大なニシキヘビの首巻き体験など、他の動物園では体験できないスリリングな企画で人気を博した。
「完全自己責任」を了承する旨の誓約書を書かなければ入れないエリアがあることや、「自己責任」と書かれた看板が掲げられていることもスリルを掻き立てる要因となっていた。
スリリングな体験の他にもジップラインやアスレチックの設置や、BBQコーナーの完備など、1日いても退屈しない動物園であったことが人気の要因であった。

確かに市営の動物園とかでは1日過ごすのは難しいきがするなあ
2 炎上騒動
その話題性の高さから人気を博していたノースサファリだが、SNSでの集客には炎上が付き物である。
ノースサファリも例外ではなかった。
炎上の原因となったのが、「アザラシと泊まれるコテージ」という企画である。
シングルベッドが二つある部屋がアザラシの水槽と面しており、ガラス越しにアザラシを観察できるというコンセプトのコテージになっていた。
アザラシの部屋も客室と同じくらいの大きさになっており、「アザラシには狭すぎる」という声や、「アザラシのストレスになる」との声が多く寄せられた。
また、このコンセプト自体が動物虐待ではないかとの声も多く寄せられた。

確かに、ガラス越しにおっさんに観察されて過ごすのは虐待な気がするよね。
3 除去命令(事実上の閉園命令)
このように良い面でも悪い面でも一定の注目度を誇っていたノースサファリサッポロだが、25年2月札幌市は施設の除去命令を出す方針を確定した。
施設の除去命令とはすなわち、動物園に対して建物や施設を除去させる命令であるため、施設は事実上の閉園を余儀なくされる。
今回の除去命令は先述の炎上や施設の危険性との関連性はない。
元々、ノースサファリが建設された地域は、計画的な街づくりを図ることを目的として指定される市街化調整区域であるため、動物園を開園する際には、事前の許可が必要であった。

確かにマンションの横に動物園が建っていたらおかしな街になっちゃうよね
しかし、遡ること2004年、ノースサファリを運営するサクセス観光は市に対して許可を申請することなく、動物園の建設をすすめていた。
市はこのことを把握した段階から、再三にわたって指導を行ってきた。しかし、動物園はこの指導に応じてこなかった。
その背景として、市に許可を申請する際には、計画書の作成や図面の提出などが必要となるため、莫大な費用がかかる。そのため動物園は許可申請を行わなかったのだろう。
このような流れから、市は今回の施設の除去命令に至ったのである。
実際にこの命令が出された場合、施設が素直に応じるかは不明であるが、生き場所を失った動物達が無事に他の施設へ移管されることが最も重要な問題となる。